包頭鋼鉄公司再訪
中国国鉄 最後の蒸機運転線区 吉蘭泰線
100%蒸機運転の期待の新線 准東線

平成14年の年末から平成15年の年始にかけての修行は最後の国鉄蒸機の吉蘭泰線、包頭鋼鉄公司の再訪、そして集通鉄路の大板機務段を訪ねた後熱水エリアで撮影というプランだった。
ところが、初日から北京-包頭の国内線が欠航になるというアクシデントに見舞われ北京で足止めされてしまった。翌日朝、飛ぶとの情報が有り空港へ行ったもののまた飛ばず、痺れを切らして行先を呼和浩特に変更して夕方の飛行機を待っていたら、午後になって包頭行きはあっさり飛んでしまった。つくづくついていない。
結局夜7時過ぎ呼和浩特には着いたものの、10年ぶりの積雪で包頭まで4時間、予定では今晩の宿泊地である烏海までは優に10時間以上掛かると聞かされ、再び路頭に迷ってしまった。金杯(ハイエース)で10時間以上はどう考えても辛いし、かといって予定通り行動しないと集通線の列車が奇数日のみの運行なので1日ずれると運転が無く最悪集通線を諦めなくてはならない。
夕食をとりながらイロイロ思案したが、やはり金杯10時間コースは無謀なので烏海への移動は諦め、集通線へは代わりの列車を探すことにしてその日は包頭泊まりに変更し、翌日は吉蘭泰線から集通線への移動途中に寄る予定だった包頭鋼鉄公司を訪ねる事にした。
その後宿で集通線の代わりの列車を探したが結局見つからず、この時点で集通線を訪ねるのは諦めざるを得なくなった。それでは何処へ行くかという事になったが、当然というか誰言うと無く「ジュンガルへ行こう!」ということに相成った。しかしメンバーの一人から「情報が全く無いじゃないか!」との声も上がり、困った現実も露呈した。そこで集通線で合流する予定だった承徳のベテランガイド、孔さんに電話して相談したところ「ジュンガルは行った事があるし、准東線の沿線も調査済み」という頼もしい答えが返ってきた。これで晴れてジュンガル行きが決定した。最初からつまずきっぱなしで全く先が見えなかった今回の修行の旅も、包頭鋼鉄公司から吉蘭泰線、そして准東線を周るコースに変更することで決定した。日本を発ってから既に丸2日が経っていた。翌朝今までのアヤを振り払うべく勇んで包頭鋼鉄公司に向かったのは言うまでも無い。

12月31日 包頭鋼鉄公司

去年の暮れ、包神鉄路に行く前に寄った巨大な製鉄所が包頭鋼鉄公司である。クルマで10分以上走っても端が見えない広大な敷地に縦横無尽に線路が敷かれており、それこそ何処から列車がやってくるか全く解らないパラレルワールドである。製鉄所という軍事機密にも関わる場所だけに路線図などは無く(有っても見せてくれないだろうが)確実にカマに逢えるのは、
@庫やターンテーブルが有るいわゆる機務段のような所
A溶かした鉄を積み出す高炉付近
B国鉄線に引き渡す製品を積んだ編成を組成するヤード付近、くらいである。
そこで今回は去年行けなかった高炉付近を中心に撮影する事にした。
機務段で憩う上游1631「民兵号」と上游1293
建設58001 どうやら1958年製に由来するらしい
残念ながらこのカマも近日中に引退するとの事だった
僚機58002は既に廃車され躍進115とともに留置されている
去年も同じ場所で目撃している
建物の裏手でわかりにくい場所にはET7とXK13の廃車体が有った 熱いボイラーのすぐ脇で噴出した蒸機がツララになっていた
溶かした鉄を入れる大きな釜を乗せたトロの編成を牽いて高炉に出入りする上游284
ヤードでSLに混じって活躍するDLたち。去年と比べてそれほど増殖した感じはしない。1日でも長くこの状況が続くことを祈りたい
空転を繰り返しながら長大な編成を牽き出す上游1521 去年もタマげた泥だらけの信号所。更に1年分の泥が付着したようだ

平成15年(2003y) 1月1日、2日 国鉄 吉蘭泰線

地方鉄道や専用線でさえ急速に無煙化が進んでいる中で奇跡的に蒸機で運転されている国鉄線区が有る。内モンゴル自治区の西部、烏海西から吉蘭泰に至る吉蘭泰線がそれである。
そもそもこの線区昨年無煙化される予定だったのだが何らかの理由で遅れておりまだ本線運用は前進(QJ)型、烏海西と吉蘭泰の入換には建設(JS)型が使用されている。しかしいよいよ本年(2003y)3月でDL化がほぼ確実視されているだけにまさにラストチャンスである。また本井付近の砂漠は素晴らしいロケーションで包神鉄路の鳴沙湾から煙が消えた現在、砂漠と蒸機の組み合わせが撮れる唯一の場所でもある。
但し、定期で運転されているのは朝吉蘭泰を出て、夕方烏海西から戻る混合列車1本だけで更に貨物主体な為しばしばウヤ(運休)も有りという極めてトリッキーな線区である。そんな訳でこの線区、時刻表の地図にはかろうじて載っているものの、列車の時刻は掲載されていない。要するに全く情報が無いので現地へ赴いて運行情報を聞くしか方法が無いのだ。
しかし、これはとり立てて珍しいことではない。中国では時間通りに運行されるのは客レのみで貨物ははっきり言ってダイヤなど無いのが実情である。よって駅にタバコのお土産を持って情報を聞きに行くのだが、駅員が教えてくれる情報もあまり正確ではない事が多い。それこそ「もう今来るぞ!」というのは大体当るが、「あと1時間半後だ」といった情報はまず当らない。それも早く来ることは殆ど無く大抵遅れてくる。よって極寒の空の下延々と待たされる事になる。それでも来ればいい方で定期列車が1本のみという状況下でウヤになったらその日は釣果ゼロという悲惨な結果になる。幸い今回我々は2日間ともウヤに遭わないどころか下りの貨物列車も撮影できラッキーだった。
限られた日程の中での撮影な訳だから1日を棒に振るかも知れないというのは非常にリスキーで半ばバクチである。だから黙っていれば自ずと効率のよい集通線のような撮影地に足が向くが、そこは生まれついてのヘソ曲がり、「撮ってやろうじゃん!」という熱いテツ魂がムクムクと頭を擡げて来る。そうして毎回のように現地で「頼むから来てくれ!」と祈りながら待つのだが今のところハズレは無し。私をはじめメンバー全員の普段の行いの良さの賜物だと思っている。
本位駅に進入する前進7053牽引の混合列車

客レと交換して発車する貨物本井駅での交換風景
吉蘭泰駅で入換仕業に就く建設8266 踏切番のオバチャン 手前のテコで遮断機を手動で上げ下げしていた
通称「約束の丘」から砂漠を行く前進6909牽引の混合列車をキャッチ
今年は10年ぶりに積雪があり砂漠と雪というコアな組み合わせが実現した
この日の貨物は遅れており本井での交換は無かったが列車は停止し、カマ士達が足回りの点検をした後発車していった
本井駅のポイント制御盤 この向こうに模型のレイアウトが有りそうな雰囲気 砂漠と言えば駱駝
しかし誰が飼っているのだろう、この付近に家は無かった
烏海西機務段の入口 なかなか立派 気候の厳しさが見て取れる
前進7053 ここの機務段も中国の他の機務段と同様に暗い 移動に使った金杯とパジェロのライトを当てて撮影
前進6909 機務段の中で唯一ともいえる明かりがこれ 空の明るさが残っているうちが勝負だ

1月3日、4日 准東線

昨年の夏ぐらいからしばしば情報が出てきたのが今回最後に訪ねた准東線である。呼和浩特の南西約120Kmの准格尓(ジュンガル)から包神鉄路の東勝へ至る地方鉄道である。
現在はまだ東勝には達しておらず途中の西営子が終点となっている。貨物専用の鉄道なので残念ながら客レは無い。但し起点の周家湾駅に数両の客車が停まっていたので何らかの形で(それこそチャーターとか)運転は可能かもしれない。
ここはほぼ全列車が前進重連牽引で途中にはサミットもあり1000分の14の勾配も存在するのだが、我々は2日しか撮影することが出来なかったので殆どサワリの部分しか見れていない。列車本数も決して多くなく周家湾からの空車編成が2〜3本(空車でも登り勾配なので力行が撮れる)、戻ってくる重車が2本程度である。また例によって線路に沿って道路は無く、途中の福興城駅は辿り着くのも困難な場所らしい。またサミットは終点の西営子と虎石の間にあり准格尓からは遠く今回は行くことが出来なかった。
よって周家湾付近と海子塔付近での撮影のみとなったが幸い天気に恵まれ、私がもっとも得意とする晴天順光バリバリの写真がモノに出来大変納得のいく釣果となった。
メンバー全員で再訪を誓い、10両以上の前進が煙を上げる周家湾機務段で記念撮影をして帰国の途に就いた。
周家湾を発車した空車編成
日もとっぷり暮れた頃
重連単機がモーターカーとチキのような貨車を伴ってやって来た
キャブの下から火室の炎が僅かに見える
生きた蒸機の証である
ロケハン中に工臨が来た 海子塔から周家湾に向かう重車編成
蒸機全盛期を彷彿とさせる周家湾機務段
実に10両以上の前進が煙を上げていた
再訪を誓い全員で記念撮影
左からナイチュウさん、現地ガイドのスーさん、私ぼのぼの
KR使いのしのはらさん、テツガイドのベテラン孔さん